シャネル No. 19
現行版 EDTとEDPのサンプルに、ヴィンテージのParfumも入手したので色々と感想を...
No. 19はグリーン ウッディ フローラル シプレ、となかなか多彩です
ガルバナム、水仙、アイリス、オークモス... Vol de Nuit - 夜間飛行と一致するノートがこれだけあるので、頭の中で同じような感じなのかと想像していました
上のノートピラミッドはFragranticaより、EDTのものとなります
いざ、EDTとEDPを同時につけてオープニングを香ってみると、これは...
茎っぽいグリーンなガルバナムがかなり効いています
僕の持っている、フォーミュラが変わる前のVol de Nuit Extrait (1990年製造) のガルバナムと似ています
しかし、両者が一致するところはここまででした
No. 19はドライでウッディなベースで、Vol de Nuitにはない、冷たく、シリアスな雰囲気が出ているように思えます
そしてパウダリーです
EDTとEDPの違いについてですが、1日のテストだけではあまり分からなかったです
それくらい、微妙な違いのように感じました
それとも、両手首に纏ってテストするという方法に問題あり?(^^;
というのも、両手首に香水をつけると、嗅覚の感度がかなり下がる気がします...
2日間、1日に1つだけ試してみることに
EDTは、フレッシュなグリーンノート、口紅を思わせるアイリスとローズ、ドライでウッディなシダーにベチバー、オークモスが程よく合わさり、男性もつけれる香り
ドライダウンはやわらかく、ふんわりとしています
EDPはフローラル要素が強くなり、チェリーのような人参のようなアイリスへと変わります
ドライダウンはパウダリーフローラル調の石鹸といった印象を受けました
Tania Sanchez氏が除光液のようだと言っていましたが、それにも近いと思います
慣れるにつれ、違いは明白になっていきますが、やはり、基本的にどちらも同じ雰囲気を持っています
両方とも、ベースはSycomoreを思わせます - お香のニュアンス、ダークで甘いベチバー、そしてサイプレスのようなウッディノート
香りの比較を終えたところでNo. 19 Parfumを受け取り、早速開封です
こちらのヴィンテージ、詳細がほとんど書かれていなくて、実はかなりリスキーな購入でした
しかし、箱を開けてみると中身は完全に未開封!
ここで一つ気になるのが、いつ作られたかということ
試しにバッチコードをcheckfresh.comで読み取りますが、結果は2018年
外箱、シールを剥がした跡の黄ばみ具合、そして28mlという表記からして2018年のものとは考えにくい...
シャネルのヴィンテージはこちらが初めてな上、ボトルやパッケージに馴染みがないので30分ほどリサーチしました
リサーチ中にBasenotesのとあるスレッドを見つけ、ある程度、年代を特定することができました
スレッド主 tansufullofperfumesさんによる写真となります
これらのパッケージ、全て微妙に違うのですが、僕のParfumは左から2番目のものと一致しました
ほかの方のコメントを見ると、このパッケージは1978年から1990年の間のものだと考えられるようです
香りについてですが、印象としてはEDTとEDPを合わせて、かなり濃くしたような感じです
石鹸のような心地良いアイリスとローズ、ドライウッディなオークモスがメインですね
香りの雰囲気自体はEDTやEDPと同じですが、オークモスのベースがとてつもなくドライです
ベチバーのウッディな甘さはほとんどありません
香りはあまり立ち上がらないですが、シアージュは綺麗にふんわりと残ります
こちらのヴィンテージはオークモスがメインと言えるほどオークモスが強く、香りの持続もかなり長いです
No. 19もMitsoukoなどと同じように、オークモスが規制された後のダメージは相当大きかったと考えられます
昔の香水は濃く香って、現在のものは薄く感じる、というのは事実であり必然的とも言えますが、"香り"そのものとなると...
限られた香料のパレットから、香りを昔と同じようにするのは、新しい作品を生み出すよりも難しいと聞きます
それでいて、現行版のNo. 19 EDT & EDPは新しく処方されたJickyやMitsoukoのように、香料の制限を感じさせない香り
今のバージョンではオークモスが確かに控えめですが、今も昔もそれぞれ良さがあり、僕は両方とも好きです (昔の思い出や愛着が特にないおかげ?)
現在のParfumも手にしてみたいです
それにしても、香料規制の状況下でも、フォーミュラは段々と改善していると思います
コレクター、定価よりもかなり安い、という理由以外で、名香のヴィンテージを買う必要がなくなる時代はもうすぐだと思うと期待で高まります
僕が調香師の方たちへ言えることは尊敬と感謝の言葉しかありません
ルールブルー
最近はアイリスが自分の中でかなりブームになっていて、中でもL'Heure Bleueが特に好きです
Après l'Ondée同様、鬱っぽいと形容されがちですが、個人的にはフレッシュでいきいきとした印象を強く受けます
現行版 レジェンダリーフレグランスのEdPの感想となります
非公式で個人的なノートピラミッド
[トップ] アルデヒド, ネロリ, バイオレット, オレガノ
[ミドル] クローブ, シナモン, イランイラン, チュベローズ
[ベース] アイリス, ベンゾイン, バニラ, ムスク, パチュリー
オープニングの印象はかなりフレッシュ
ひんやりとしたグリーンでシャープなバイオレットと、シャネルのNo.5やランバンのArpègeを思わせるアルデヒドフローラルが中心で、温かみのあるハーブとネロリも少し
ベースにあるバニラのように甘いベンゾインの香りもここから既に分かります
アニスシードもトップノートにあるみたいですが、僕自身、実物やその香料を香ったことがないもので (^^;
ということで、個人的なノートピラミッドからは省きました (とても個人的w)
少なくとも目立ってはいないはず...
ローズやジャスミンも入っていると思いますが、完全に溶け込んでいる感じなので分かりづらいです
鼻を近づけて香ると、この上ないパウダリーさという感じでなかなかカオス
バイオレットの次はフルーティーで酸っぱい、ウッディなアイリスへと自然に変わります
アイリスにフレッシュでパウダリーなホワイトフローラルのアコード、甘いオリエンタルのベースが全て合わさり、ここら辺から甘酸っぱいデザートのような雰囲気が出てきます
しかし、グルマンのカテゴリーには入らない程度
変化はこれくらいで、あとは時間とともに静かになっていきます
ベースはバニラ アブソリュートの香りにかなり近いです
Jacques Guerlain氏は1914年の大戦が始まるずっと前から、ヨーロッパで災いが起きると感じていました
不吉な波に飲まれる前にどうにか、言葉では言い表せない自分の強烈な感情と、いつも通りの日常を香水で表現したいと彼は言い、1912年にL'Heure Bleueを発売するのでした
彼のこの言葉を聞いたあとにドライダウンを香るとなんだか険しい感じがします
ベル エポック最後の日常とも言える香り
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以下、参考サイト
ジッキーの今
1889年に発売されたJickyという名の香水
とはいえ、香りに関しては古い印象は全くなく、むしろモダンだと言えます
心地よいベルガモット、ラベンダー、そしてスモーキーなバニラが合わさった、少しオリエンタルな要素が入ったフゼアです
こちらの香水は過去にフォーミュラの変更が何回か行われ、昔と香りが違いすぎるという意見がネット上に多くありました
そして近年、再度フォーミュラが変更されたとの噂が!それも良い方向へと
僕はヴィンテージや旧バージョンのJickyを持っていないため、比較ができないのですが...
少なくとも現行版 (レジェンダリーフレグランス) はかなり良いと言えます
古いバージョンをお持ちの方、現行版と比べてみて、どんな感じでしょうか?
非公式で個人的なノートピラミッドは
[ミドル] ラベンダー, ゼラニウム, ローズ, ジャスミン
[ベース] トンカビーン, バニラ, シベット, パチュリー, ムスク, サンダルウッド
ルートビアのようなオープニングからラベンダーとバニラが既に感じられます
10分ほどしていきなりハーバルなアニマリックノートが現れますが、遠くからだとラベンダーとバニラの香りなので不思議
ここは、お香のように感じる方もいるかもしれません
お米を研ぐとき、こんなアニマリックな香りがしたような気がします (お米を最近食べていないので、的確な例えではないかもしれませんが...)
セージの香りにも少し近いです
フゼアという名の通り、草のような印象が強いです
つけてから2時間くらいで、香ばしい、甘い焼き菓子のようなドライダウンへと移り、ここで変化は落ち着いていきます
スモーキーなバニラをメインに、かすかに残るすっきりとしたハーバルなノートとスパイスが合わさり、心地よく、温かみのある香りを放ちます
この時点でアニマリックノートは既に消え、鼻を近づけると、これまた美味しそうなバニラの香りが...
若干パウダリーで、あとはユーカリのようなフレッシュさも兼ねています
ところで、Jickyを作った調香師 Aimé Guerlain氏は何故、この名前を選んだのでしょう?
Jickyというのは人の名前なのですが、その名前の由来に有力な説が2つあります
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"自身が恋を抱いていたJickyという女性"
"自分の甥 - 後にゲランの3代目調香師となるJacques Guerlain"
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ゲランの公式サイトの説明では前者が書かれています
後者の可能性も十分にあるということで長い間、真相は明らかにならないままでした...が
ある日、Luca Turin氏のJickyに関するブログを読んでいるとAimé Guerlain氏は同性愛者だった、とのこと
そして名前の由来はJacquesから来ているようです
これは単なる噂ではないようですが、ソースがなかなか見つからなかったため、これで謎は解けた、とは言い難いですね
恋を抱いていた相手が男性で、名前がJacquesだと考えると前者の説がしっくりきます
ゲランには何か守りたいものがあったのかもしれません - ブランドのイメージか、本人か...
余談ですが、僕のJickyは上の写真の旧パッケージで届きました (ボトルはビーボトルではなく、記事一番上の写真の通りですが)
製造日も2020年10月で、Jickyがレジェンダリーフレグランス コレクションの1つとして発売される数ヶ月も前です
初期バージョンだと思うと少しレアな気分でいられます (^^
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以下、参考サイト